2009年4月11日土曜日

歌舞伎座へ

日差しが暖かくなりましたね。
井の頭公園も高井戸から浜田山の神田川沿いの桜並木の桜もピークは終わったものの、まだまだ眼福です。いたずらな春風に花弁が舞い踊る姿もまた美し。

一昨日、歌舞伎座に行ってきました。
昼の部は「伽羅先代萩」の通し狂言です。仙台伊達藩のお家騒動を材にしたお話でそれぞれの幕に見どころがあるおもしろい演目です。「さよなら公演」ということもあり今をときめく役者さんが揃っているのもまた華やか。

見せ場の中のひとつ「飯炊き(ままたき)」がおもしろい。若君を守るために乳母「政岡」自らが隠れてご飯を炊くのです。きらびやかな御殿の一室で周りに気づかれぬようにお茶を立てているように見せかけながら。玉三郎丈演ずる政岡のお所作が美しい。お米をとぐ姿が優雅だなんて。。

楽しみにしていたのは吉右衛門丈の仁木弾正。お家乗っ取りを企てる極悪非道の弾正は不気味で嫌~な奴だけれど、見たいんだな。。これが。
しかし。。吉右衛門さんが優しそうな善人に見えてしまう。もっと怖~く殺気立った弾正希望!
いや、でも・・渡辺保さんが「ハラに悪を押さえて表面はあくまで平然たる具合。地味で渋い行き方。播磨屋びいきはもう一杯派手にやってもらいたいと思うところだろう」と批評を書いてらした!地味で渋いというのも感じられなかった。やっぱり私はただのミーハーなんですぅ。

そしてもう一方、楽しみにしていた仁左衛門丈の女役。仁木弾正の妹ってことでこれまた極悪「八汐」。その意地悪っぷりがもう最高!それでいて愛嬌がある。つくづく素晴らしい役者さん。

今回は歌舞伎に興味を持ち始めた長女と観たのですが、子供の死に嘆き悲しむ玉さんの迫真の演技に娘、ほろほろと泣いておりました!ねずみの着ぐるみが男の助に一喝され逃げ苦しみクルクルと回る様を見て、「す、すっごい!江戸時代からブレイクダンスをやっていたわけ?!」と娘。確かに背中を使ってくるくる回るすごい技!「ね!おもしろいでしょ!歌舞伎。」母えっへん。

実は先月の歌舞伎座で着物デビューを果たしたのです!ばんざ~い!でもその時は着付けの先生にチェックしてもらっちゃいました。。。
そうなんです。お正月に着物デビューしたいと年末から着付けを習いに行っていました。西荻の「ころもや」さんで着物センスが素敵な師匠勝呂さんの特訓(?)のおかげでどうにか今回は自分で着られました!
しかし、おそろしく時間がかかるんです。襟が決まらないと何度ともなく着直し、もう帯の時にはかなりのエネルギー消耗状態。



駅で「白大島ですか?」って聞かれました!!
「わぁ~分かりましたか!!」もううれしいのなんのって。そうなんです♪母譲りの白大島にアンティーク屋さんで衝動買いした黒い「宝尽くし」刺繍の名古屋帯です。春らしい桜ものはまだ持っていませんが、この日の長襦袢は桜、梅模様の入った友禅でございます♪
情けない着付けにつき写真は暗めです。。

2009年4月9日木曜日

3月の「ふだん着のスペイン料理」


ちょっと遅くなりましたが・・・先月のお教室から。。

��月の「ふだん着のスペイン料理」はバスク料理でした。バスクについては何度ともなくお話してしまったかもしれません。よろしかったらブログ内の「バスクへ」などをぜひ見てください♪

代表的な料理「赤ピーマンの詰めもの」をメインに「あさりのマリネラ」「海老とマンゴのサラダ」など。飲み物ははシードルを合わせました。デザートは「ガトーバスク」。どれもバスクらしい私の大好きなメニューです。



「バスク風赤ピーマンの詰め物」はナバラ地方で作られている「ピキージョ」という小さな赤ピーマンを使います。中には干し鱈の入ったホワイトソースを詰め、アメリケーヌソースで頂きます。この料理、ピカタにして揚げることもありますが、私のは揚げないシンプルなタイプです。
パンだけではなく、ご飯にも合うまた食べたくなる味です。



「パステルバスク」とスペインでは呼ばれていますが、みなさんにはフランス語の「ガトーバスク」の方が親しみやすいのではないでしょうか。「バスクのケーキ」というその名の通り、バスク地方が故郷のスペインでもフランスでも名高いケーキです。
アーモンドパウダーを混ぜた生地にレモンの香りがほんのりとするカスタードクリームをはさみます。

昨年バスクを旅した生徒さんの池田さんが生地の残りで素早くバスクのシンボルマーク「ラウブル」を作って下さいました!Buena idea!!
おかげさまで今回は一層バスクらしくなりました♪

追って今月の「スペイン料理」もご紹介します!


2009年4月6日月曜日

出島


佐世保滞在中、妹に車を借りて長崎までひとっ走り。「出島」を見に行ってきました。

鎖国時代、西洋に開かれた唯一の窓口として、日本の近代化に大きな役割を果たした「出島」。今、昔の姿を復元する作業が進められています。いくつか完成した建物と展示された資料を見てきました。

その中のひとつ。カピタン(オランダ商館長)の料理を作っていたという「料理部屋」です。



調理台の上にはリンゴをくわえた豚さんの頭が。。
食事風景の絵にはテーブルにど~んと置かれていました。クリスマス料理だそうです。大層なもてなし料理だったのでしょうね。吊る下がっているほうの豚さんは塩漬けです。



乳鉢がありました。。下の絵ではスパイスらしきものをすっています。他にも真鍮や銅製の鍋などの調理道具が並んでいます。



この絵を元に再現したそうです。ソーセージやハムを作っているところ。。。皆、エプロンしなかったのかなぁ。。

「料理部屋」には3人の日本人が働いていたそうです。絵に出てくるちょんまげ姿の人では。。。
彼らが長崎の町に西洋料理を伝えたといいます。



小さな人形で様子を復元しているものが
他の建物の中にいくつかありました。
これはビリヤード風景。あ・・畳に土足。。。

お土産屋さんで素敵なもの発見!
ポルトガル船が描かれている有田焼らしき(?)
醤油さし!
てぬぐいは鳥と木の実、中央に家紋のようなイニシャルが描かれています。磁器からの写し絵かな?



この日食べた「群来軒」の長崎ちゃんぽんも
美味しかったです!

2009年4月5日日曜日

南蛮菓子を訪ねる


最近南蛮料理、特に南蛮菓子が気になって
スペインやポルトガルのお菓子と日本の
お菓子の関係、その歴史を紐解いています。



先週、妹のいる佐世保に1週間行ってきました。

それで、今回は一人で平戸まで足を伸ばしてみました。南蛮貿易の一大拠点だった平戸には
南蛮菓子「カスドース」があるんです。

佐世保からバスで80分。
サンフランシスコのゴールデンブリッジを
彷彿させる赤い橋平戸大橋を渡たるとそこは平戸。

まずはカスドースを食べに
「蔦屋」の茶寮へ直行しました。



ここには江戸時代の復元菓子など
平戸松浦家にまつわる素敵な伝統菓子が!



一番手前がカスドースです。
カステラを小さく切り卵黄に浸し、蜜にくぐらせ揚げ、
グラニュー糖をまぶしたポルトガルからやってきたお菓子で、当時は平戸藩門外不出。殿様しか食べられなかった贅沢なものだったそう。
私は好きです。緑茶と相性良し。
卵黄と蜜、まぶしたグラニュー糖というところは
スペインのジェマスというお菓子とまさに同じ!

後ろは平戸藩松浦家に伝わる「百菓乃図」の復元菓子「烏羽玉」。これも松浦藩主の「お留め菓子」。
和三盆をまぶした求肥玉の中に黒ゴマ餡が入っています。
うわっ。。美味。。和三盆の甘味が上品です!

中央のお皿には「牛蒡餅」。
これも歴史の古いお菓子で、平戸では慶事や法事に「お配り菓子」をする風習があり使われていたものだそうです。
ごぼうに似ているのでこの名前がついたのだとか。
茶道でも名高い平戸藩。茶菓子として使われた時は茶席で亭主が切り分けて客に供するというユニークなもてなしだったそうです。
米粉で作ったもっちりとした食感がういろうのようです。



この茶寮。落ち着きます。
まだ雛壇が飾られていました。



店内にあった業務用オーブン。
これは福岡で製造している「南蛮窯」。
可愛らしい赤とこのネーミングが一目惚れ。



平戸はフランシスコ・ザビエルが愛した地とも
言われています。
日本で初めてザビエルの布教が許された地でもあります。

お寺を通り過ぎて、長い石畳の階段をあがると
ザビエル記念教会があります。

海が見える風景は
ザビエルが育ったナバラ(今のバスク)の
風景に似通ったところがあるかも。。と
しばし遠きかの頃に思いをはせました。
晴天に恵まれ、美しい海と桜や春の花。
そこにまたうぐいすの声。とても穏やかな気持ちになりました。

実はここで携帯(カメラ)のバッテリーが
見事になくなったのでした。
またやっちゃいました。。。はぁぁ。。



その後「湖月堂」へカスドースを買いに行きました。
こちらのカスドースは蔦屋よりも小さいので食べやすく、また違ったおいしさです。

松浦史料博物館にも行きました。
思ったよりもたくさんのものが展示されていて見応えがあります。
帰りの時間が迫っている私はしごく急ぎ足で。。。
もう少し余裕を持って見たかったとちょっと後悔。
南蛮貿易の中心地であった様子が分かる資料の数々。華々しい松浦藩の大名調度品。戦国絵巻に「百菓乃図」!
あるわ。あるわ。。
松浦家の歴史は平安時代に遡るそうです。なんと初代は「源氏物語」の光源氏のモデルになった人なんですって!!

2009年3月11日水曜日

エプロン


はや3月。
花粉症だ!インプラントの手術だ!確定申告だ!
と言い訳並べ、またブログを怠っているうちに...
ミモザも美しき咲き、
春ももうそこまで来ているではないですか。

apron

ソレイアードのエプロンを作りました。

お彼岸まではまだまだお天気も気まぐれかも
しれませんが、今日は良いお天気でした。
春間近の快晴の日にはとんでもなく
心が浮き立ってしまいます。
そして極々単純極まりないので
冬ほぼ静止状態だった「やる気」っていう奴が
新芽がにょきにょきと出るが如く現れるんです。
・・・ということで、吉祥寺コットンフィールドで
大人買い(笑)してしまった布が
何を作ってくれるのかといじらしく待っている。。

見慣れた風景が少しずつ春色に
変わって行きます。
ミモザ色、桜色、新緑色。。
ところで、最近着物の勉強をしていると、
なんとも美しい色の名前に出会います。
桜に関する色だけでも薄桜、桜鼠、灰桜とか
あるらしい。。うっとり。。
そして季節を先取りして着る着物は
もうとっくに春なのですね。

初めて自分で着物を誂えました。
白生地から選び、染める色を決めていく。
なんかとっても贅沢な楽しみ。
出来上がるのが日々待ち遠しい。こんな風にワクワクと待つっていうのもまた実に贅沢。

その着物、空色の無地を選びました。
桜の木に芽吹き始めた新芽の
向こうに広がる青い空。
春は木を見上げることが多くなり、
またそんな空の色にほっ。
私の春の色は空色かな。。
エプロンもまずは空色だったし。。

寒さでコチコチになっていた
気持がゆるるりととけるように
ほんわかした気分になりますね。
だから春の訪れって感動的です。
冬が苦手なので、そう感じる時の気持ちの
高揚ったら格別なのです。

2009年2月11日水曜日

ラウルと一緒に


先週はスペインから客人がありました。
娘のボーイフレンドのラウルです。
夏、スペインで会ったので調度半年ぶりの
再会となりました。

彼にとってははじめての日本。
それで先週は浅草、鎌倉などに出掛け、
私もすっかり便乗。観光を楽しみました。



鎌倉へ行った日は滞在中一番のお天気に。
江ノ電から見えた富士山があんまり美しかったので
江ノ島まで足を伸ばしました。
海の彼方にそびえ立つ美しい山に
ラウルも息をのみ、日本での一番のお土産に
なったと感激。私もこの日のお天気には本当に
感謝しました。

さて、旅行中の楽しみは、やはり「食」ですよね。

実はスペイン人らしからず、魚介は苦手という彼。
生魚なんて見たら顔色が変わります。
ということで、お肉中心の料理と相成りました。
家では2度手料理でもてなしたのですが、
あちゃあ。。大失敗。
彼は甘い味付けのお肉が苦手だったのに、
作ってしまいました。すきやきを。
その次にはハンバーグを作りましたが、
これは無難に満足してくれました!

外食の方も、いかに喜んでもらえるか、
外国の人を連れて行く所は考えちゃうものです。

あの店、この店と思いつつ結局赴いたのは
まずは「銀座イベリコ」。イベリコ豚のしゃぶしゃぶに「え?こういう食べかた??スペインではありえない!新鮮!」とうれしいリアクション。
浅草では「ぱいち」のメンチカツとこじんまりした
店の雰囲気、壁のお祭りの写真にまたまたうれしいリアクション。
彼はタランティーノファンということで、麻布の「権八」にも行きました。ここ・・外国人は間違いなく喜びます。

権八

吉祥寺の「牛鉄」に行き、焼き肉にも初挑戦。
これもまた彼のテンション、かなり上がりました。
お箸でお肉の焼き具合を確かめるラウル。
最後にはけっこうな焼き肉奉行っぷり発揮!
それから、喜んでいたお店がもうひとつ。
吉祥寺の焼鳥屋さん「いせや」。
立って食べて呑んで、スペインのバル文化と通じるんですねぇ。

いやはや、日本にはエンターティメントな
お店がたくさんあります。
今回は私も美味しくて楽しい日本を再認識しました。
ラウルにとっても良い思い出になったかなぁ。。


2009年2月7日土曜日

2月歌舞伎座


今月も待ちに待った歌舞伎座に
スキップでもしたいくらいの勢いで
行ってまいりました。

一日千秋の思いで待っていた吉右衛門さんの
勧進帳。
気迫あふれる弁慶は大変見ごたえがありました。

感情がひとつひとつ伝わってきて、ハラハラしたり
ほっとしたり、すっかり引き込まれました。
吉右衛門さんの恰幅の良さもイメージしている
弁慶にぴったりと重なるんです。

飛び六方が始まる時のあの張り詰めた雰囲気、
息をのみます。まさに歌舞伎の醍醐味ですね。
あ~今思い出すだけでも、ワクワク。
もう一度吉右衛門さんの弁慶が観たい!!

ところで、歌舞伎座でお弁当を食べるのも楽しみのひとつです。
待ち合わせに遅刻してしまったので、
その間に友人がお弁当を買っておいてくれました。
恵方巻き!そうです。その日は去る節分の日だったのです。
恵方巻き、食べ方に色々ルールがあるんですね。。
おまけの羅針盤に合わせてまずは東北東を向く。
良かった。舞台上手の方。。後ろだったらどうしよう
かと思いました。。。セーフ。
食べきるまでしゃべってはいけない。ただひたすら食べる。ということで、やたらと太い恵方巻きに「がぶりつく」。食べ終わり笑ってる友人を脇目にどうしても早食べとなる。。。時々詰まらせる。イクラはぽろぽろ落ちる。でも無言のまま、また食べ続ける。
けっこう、きつい。。福に来てもらうのって大変。
いや、これくらいやらなきゃ福だって来たがらない!

実は「節分」のこの日を選んだのは、
昨年の役者の豆まきを見逃し、
今年こそは観たいと切望していたからでした。
吉右衛門さんの袴姿。投げられた豆、絶対キャッチするぞ、とワクワクしていたのに。。。
はい!正真正銘のミーハーです。。

ところが、夜の部でやった去年と違い、昼の部でもうやってしまったらしい。あららら。。

それから、この日こそ着物デビューとスタンバイしていたにも拘らず、色々事情ありまして、かなわず。
へこむ。。。
え~い絶対次回こそ!

兎にも角にも、今月もまた
「歌舞伎に出会えて良かった」と
感慨深い思いでございます。。。