2012年10月22日月曜日

修道院のお菓子(サラマンカ旧市街)


カンタラピエドラの修道院のシスター・マリアアンヘルが紹介してくれた村のおじさんに車でサラマンカまで送ってもらいました。と言ってもおじさんは彼女の顔を一度も見た事がなく、声しか知らないのだそう。

サラマンカではキッチン付きのホテルだったので、市場で野菜や果物、サバの酢漬け、パンなどを買い込んで部屋でゆっくり昼食を楽しんだ後、旧市街に出かけました。

サラマンカに行く機会のある方にぜひ足を運んで頂きたいのが、旧市街にあるConvento(Monasterio)de las due?as ドゥエニャス修道院です。歴史的建造物である古い修道院の中を見学することもでき、今現在も暮らしている修道女たちの手で作られたお菓子が売られています。


1419年に設立されたというこの修道院。もともとは宮殿だったムーア様式の建物が美しく、内部を観るだけでも充分価値があります。


中庭、そしてアーチのひとつひとつが美しい。


17世紀にギネアのお姫さまがこの修道院の修道女となり暮らした頃のものや、可愛らしい修道院にまつわるものも展示されています。



見学し終わった後は入り口(出口)横にあるお菓子の販売場所に。
トルノもありましたが、格子がついた窓口で車いすに乗った70代の修道女がお菓子の説明をしてくれました。この人もまた肌がきれいで「綺麗な肌ですね」と言ったら、「よくそう言われるの。いつも水で洗うだけ、何かをつけたことがないのよ」。


ここのマグダレーナ、美味しいです。


そしてマンテカード(ポルボロンのようなお菓子です)。実はまだ食べていない。。




2012年10月21日日曜日

修道院のお菓子(サラマンカ)

バジャドリッドからサラマンカへ移動しました。お天気に恵まれ、ローマ橋から臨む旧市街の美しいこと。




今回は夏前からいくつかの地域の司教さまに連絡を取り、修道女たちとの交流をお願いしました。司教さまからお返事を頂き、許可が下りたのはサラマンカとセゴビア、この2つの地域でした。修道院は神聖な場所と同時に閉ざされた場所。修道女に時間を割いてもらうのも、彼女たちの祈りを中心にした規則正しい生活を邪魔してしまうわけですから、許可はそう簡単にはおりません。


まず、最初に向かったのがサラマンカから50kmほど離れたカンタラピエドラ(Cantrapiedera)というこれがまた小さな小さな村なんです。そこにあるサグラド・コラソン・デ・ヘスース修道院を訪れました。


今回の旅行はレンタカーを借りるか迷ったあげく、公共交通機関でまわることを決めたことを少し後悔。ここはかなり不便なところでした。列車もバスも1日に3本くらいなうえに時間が全然合わず・・・

朝早く着いたこともあり、修道院に入ると修道女たちが廊下の掃除をしていました。


通された部屋には格子ごしにカーテンがひかれ、右側にはトルノがありました。
カーテンが開くと、そこには顔立ちの美しい、でもとても厳格そうな修道女が「お菓子のことを聞きたいんですって?またどうしてわざわざ日本から?」。カーテンの向こうは小さなチャペルになっているようです。私は手前の椅子に座り、シスター・マリアンヘルは格子の向こう側に座り、この日は1時間ほど時間をいただきました。


途中から参加してくれたのはシスター・オルガ。朝食を持って来てくれました。手作りのカップケーキと紅茶(スペインの修道女はコーヒー好きのようです)、ナプキン立てには「平和と善」の言葉が。この朝は寒かったので温かい紅茶がうれしかったです。


シスター・オルガがまた美人。にこっと笑うと可愛らしくて少女のようなのだけど、なんと30歳だと分かり、ほんとびっくりしました。マドリッドからこの修道院に入ったのは13年前というから、またびっくり。「あなたたちは年齢よりとっても若々しいし、お肌も綺麗ね。それにとても健康で長生きだって本で読んだことがあるけど・・」と言ったら、「規則正しい生活を送っているからよ」とシスター・マリアアンヘル。すかさず「私たちタバコも吸わないし」とシスター・オルガ。茶目っ気あるオルガの言葉にマリアアンヘルは思わず苦笑い。


思っていたよりも、お菓子歴は浅く、他のクララ会のレシピを工夫しながら、6人の修道女たちでお菓子を作っているそう。3色のジャムをはさんだ「信号機」というクッキーやアーモンドクッキー、レモン風味のポルボロンなど。ツナをはさんだエンパナーダも注文があると作ってくれるとか。この修道院ではこれから注文を受けたクリスマス用のポルボロンを作り始めるのだそう。

2012年10月18日木曜日

修道院の刺繍(オルメード)

この日は伝統的な刺繍を仕事にしているという修道院を訪れることに。ずいぶん前から楽しみにしていた修道院なので朝からワクワク・・のはずが日本から仕事の連絡があり、帰国を少し早めるという決断を強いられ、かなり動揺。。日程をおさらいすると、マドリッドの娘との時間を削るしかないではないですか。聖イサベル修道院のエンパナーダを朝食に、窓からピスエルガ川を見つめながら気持ちの整理をし。。。
3日早く日本に戻る事に決めました。

本数が少ないバスにどうにか間に合い、バジャドリッドから44kmほど離れたオルメード(Olmedo)に向かいました。


着いた村は思っていた通り、とても小さな村。
ところが、17世紀の劇作家ロペ・デ・ベガが書いた「オルメードの騎士」が名高く、スペインでこの村の名前を知らない人はいないのだそう。(ちなみに日本では岩波文庫から出版されています。私も読まなきゃ!


可愛らしい家並みを歩きながら修道院に向かいます。
昨晩はお祭りだったそうで、遊園地を解体して運んでいたり、ちらばったゴミを村の人たちが片付けています。さぞ賑やかだったことでしょうね。。でも修道女たちは外に出ることもできず、大騒ぎの音を微笑みながら聞いていたのでしょうか。


人に訪ねながらたどり着いたかわいらしい修道院。マドレ・デ・ディオス修道院。16世紀設立時の門の一部がそのまま残っています。修道女たちが住む奥の方には昔のままの姿をとどめたムデハル様式の美しいアーチなどもあるそう。


時間の確認で電話をしていたので、「待ってましたよ!」と快く迎えられました。そしてトルノがぐるりと回り、鍵がひとつ。


もらった鍵で扉を開けると、小さな部屋にガラス棚がありボビンレースや刺繍をほどこした作品がずらり! 私は思わず歓喜の悲鳴。大好きなマジョルカ刺繍や繊細なボビンレースなどそれはもう可愛いものばかり!天使の刺繍をしたクッション、麻の布にイニシャルを刺した小物やパン袋まである!とんでもなく興奮してる私に「遠くからよく来たわね」と2人の修道女が格子の向こうから声をかけてくれました。


とっても元気な73歳のマザー・マリアホセと笑顔を絶やさないもの静かなマザー・マリア。この方はなんと80歳。でもまったくそんな年齢には見えないほど肌もきれいで若々しい。

刺繍をはじめたのは何人かの修道女がもともと得意な刺繍を教え合ったことからはじまり、いつの間にかこの修道院の仕事となり、今では大切な収入源となっているそう。

それにしても、繊細な作品の数々。ひとつのものをじっくりと1人が縫ったり、時には共同作業の時もあるとのこと。現在、28人の修道女の中で刺繍をするのは6人。このお2人のマザーを中心にチームが組まれいるそう。

修道院の日々の多くはお祈りの時間にあてられ、他にも様々な毎日の行事があり、話を聞いていると修道女たちの1日はとても忙しそう。「仕事」の時間はここの修道院では1~2時間と決められているので、受けている刺繍のオーダーを期限まで間に合わせる時はとても大変なのだとか。


一目惚れしたのはマジョルカ刺繍のこのクロス。マザー・マリアが1ヶ月かけて作った作品。丁寧な引き抜き刺繍も美しい。マジョルカ刺繍は他にも青い糸とベージュの糸があったけれど、このきれいなえんじ色が好き!私の宝物になること間違いなしです。大切にしよう。

中央にあるのはポプリ入れ。修道院のハーブを摘み、乾燥させて作ったというポプリをその場で入れてくれます。「あなたの好きな香りのものを入れ替えてね」とマザーたち。でもこの強すぎないやさしいラベンダーの香りがとても心地よいのです。


大きな可愛らしい箱にきれいに重ねて入ってるのをそのたびに取り出して、「これは大変だったの」とかお話つきで1枚ずつ取り出して見せてくれます。
ボビンレースのハンカチとマット。これも私の宝物になりそう。

オーダーで赤ちゃんのドレスやウエディングドレスも作るというから素敵。ベッドリネンを頼まれることもあるそうだけど、そうとう気長に待たなきゃいけないんだろうな。でも、ゆっくり時間をかけて待つのもそれはそれで楽しいかもしれませんね。

そして、次に訪れる時には習えたらいいな。。

2012年10月12日金曜日

修道院の刺繍(バジャドリッド)

司教服や司祭服、教会や聖堂の祭壇布などに美しい刺繍をほどこす「金の刺繍(Bordado en oro」があります。金色の糸を使い繊細な技法と時間を費やして刺していく古くから伝わる芸術的な教会刺繍です。今回の旅で何度ともなく教会や聖堂で直に見る事ができました。

下の画像はパレンシアの聖パブロ教会のマリアと幼子イエス。マリアさまの衣装に金刺繍がほどこされています。


パレンシアのソレダ教会のマリア。やはり衣装に豪奢な金の刺繍がきれいです。


修道院でもこの「金の刺繍」を長い間、得意としているところがあります。上の画像が修道院で作られたものかどうか分かりませんが・・ひょっとしたら。。

ところで、今回はお菓子だけではなく、刺繍を「仕事」にしている修道院も訪ねてみました。金の刺繍よりもう少し身近な伝統的なスペイン刺繍をしているところです。

下の画像はバジャドリッドにあるバロック様式のファザードが見事なラテラン・聖ヨハネ教会。この教会の左横にあるレンガ作りのコラソン・デ・ヘスース・イ・サンホセ修道院で刺繍を販売していると知り、訪ねてみました。



中に入るとトルノが。


前もって連絡をしていたので、名前を告げるとトルノがくるりと回り、そこに鍵がふたつ。私がその鍵を使って外から扉を開けて入るのです。


廊下に聖テレサの画が。もうひとつの鍵で指定された扉を開けると、格子のむこうに刺繍をした布がいくつも並んでいます。30代前半くらいの修道女オルガが出てきました。


実はここは機械を使った刺繍で、私にとっては少し残念だったのですが。。シスター・オルガの話を聞いていると後戻りができない機械刺繍が意外と大変なことが分かりました。

実はこの刺繍をはじめてからまだ6年だそう。オーダーなどに答えながら、典礼用品はもちろん、クロスやタオルなど日用品に機械刺繍をほどこすそう。




色々と話しをしながら、いくつもの作品を見せてもらい、私はこのマジョルカ刺繍を模したテーブルクロスとナプキンのセットを購入しました。

2012年10月7日日曜日

バジャドリッド

空気は冷たいくらいですが、青く広がる空は高く清々しいバジャドリッドの朝。早速、旧市街にある聖イサベル修道院へ。

バジャドリッドはカスティージャ・イ・レオン州の州都。その昔、フェリペ3世の命により短い間ながら首都にもなったことがある由緒ある街。その時代の美しい建造物がいくつも残っています。聖イサベル修道院も旧市街の中心地に位置する歴史ある修道院のひとつ。


この修道院設立の起源は15世紀にまで遡るとか。16世紀初頭に教会とメインの建物が名高い建築家のもと造られたそうです。上の画像の小さな入り口の後ろに石造りの建物が大きく広がっています。

壁伝いに歩くと大きな通りに面したところにドアがあり、中に入るとまるでお菓子さんのような佇まい! 
格子さえなければ・・・です。














ガラスの中に入っている色々なお菓子に、棚の上には大きなパン菓子の数々。
お菓子が得意なクララ会らしい品数です。チャイムを鳴らすと修道女が出てきました。

 

お菓子の説明を聞き、何を買うか迷っている間に、次々とお客さんが入ってきます。バジャドリッドの人たちがふつうのお菓子屋さんのように買いに来ているのです。あっという間ににぎやかに。

修道女たちは写真を嫌うので焦って撮らしてもらったら。。あ~ピントがへんなところに。と、突然修道女が「あ、そうだ。本かなにか見てる所はどう?」と持つものを探し始めました。


どれを手にするか迷ってしまった修道女。ちょっと時間がかかりました。。なんだか、申し訳ない。こんな画像だけど日本へ戻ったら送ろうかしら。


エンパナーダと大きな天使の髪の毛のパイと定番のジェマスを買いました。お菓子さんと同じような包み方ですが、この修道院にちなんだ絵が入っている包装紙がとってもかわいい。


これはジェマス。聞いてみたら、私の本のレシピとほぼ作り方は同じ。でもお砂糖の量は倍くらい!なので日持ちもするのですね。聖イサベルの絵入りの紙が可愛らしい。ジェマスはやわらかく、日本で開くといつもとんでもない形に変わっているので、ホテルで写真を撮ることに。


これはエンパナーダ。スペインで愛されている塩味のパイです。いくつかサイズがありましたが、これは16cmくらいの大きさで3~4人で食べるくらいの量。中はズッキーニ、ピーマン、玉ねぎ、ツナ、トマトソース。実は修道院で作っているエンパナーダ、はじめて食べました。なかなかおいしい。


ホテルに戻って食べたパイ菓子は中に「天使の髪の毛」かぼちゃ(そうめんかぼちゃのような)で作ったジャムがたっぷりと入っています。これもすごく大きい。


実はこの修道院と教会は美術館になっていて観覧できるのです。そこには私の観たかった修道院の台所がそのまま再現され、昔使われていた台所用品がたくさん展示されているそうなのです。これを観られるのは金曜日と土曜日だけ。今回スケジュールが変更のまた変更でどうしてもずらすことができなかったのが本当に悔やまれます。。。
また近く訪問できますように。。。


修道院を訪ねて 

1年ぶりにスペインに来ました。

時間の使い方が下手なのか・・ここのところ時間に追われてばかり。
日本を発つ前日までドタバタ。機内でPC開いて本の校正までやる始末。。体の疲れがとれないままのスタートに。リアルタイムで記すのはやっぱりちょっと無理みたい。なので今回も日々を追いながら、備忘録も兼ねて綴っていこうと思います。

今回は期間も短く、駆け足の旅。
マドリッドで1年ぶりに長女の元気な顔を見て、胸がいっぱいになったのも束の間。ほんの少し娘家族とうれしい時間を過ごした翌日の朝、バジャドリッドに向かいました。
今回は中央部の修道院をいくつか訪ねてみることに。実は北の地方もまだまだ行きたい修道院があるのですが、ずっと気になっていた修道院も含めカスティージャ・イ・レオン地方をまわる事にしました。

ラウルに駅まで送ってもらい、早朝のAVEに乗りバジャドリッドに。大学にほんの少しだけ通った事があります。え?・・ということはなんと26年ぶりのバジャドリッド!


まずは荷物を置きにホテルへ。

ずっと気になっていた可愛いプチホテル。各部屋ごとテーマ人物が決まっているというから、妄想膨らみコテコテの可愛らしいお姫さま部屋を想像していたのに・・淡いグレーと紺でまとまられたなんともおとなしいお部屋じゃないの。。。はぁぁ。

しかしテーマ人物はルイス・メレンデス。ふむ。。メレンデスと言えば、ボデゴンが有名な18世紀のスペイン画家。台所や食卓の食物を活き活きと描き、食器などを美しく描いた人。あれ?食関連? 食つながりではないの! その上、我家の部屋番号と同じ番号。う~ん、これはなんとなく素敵な旅のスタートかも!


この分だとまた日本へ帰って綴り続ける事になりそうですが、少しずつ綴っていきます。