2011年11月27日日曜日

修道院のお菓子:ビトリア(バスク地方)

この日はサルバティエラからバスに乗り、朝乗り換えた場所、Vitoria ビトリアに戻りました。

ビトリアはバスク地方(自治州)の州都で、人口も多く、経済、文化、そして緑にも恵まれた街。一度は訪れたいと常々チャンスをうかがっていたところ。

そんな街にスペインの知人にも薦められた修道院の一つがありました。お菓子作りでも名高いMonasterio de La Inmaculada インマクラーダ修道院です。どうにか午前中に行きたいと気がせき、バスターミナルからタクシーで向かいます。



白い木枠をつけた出窓が印象的な街並み。歴史建造物がたくさんある旧市街の中心地にその修道院がありました。



この建物の歴史は古く、17世紀前半に建てられたのだそう。
修道院の宗派でもあるクララ会自体は13世紀からビトリアに存在していたようですが、歴史的な経緯ももあり19世紀になってからこの建物に移ってきたとか。

いずれにせよ、なにもかもが気の遠くなるような時間の営みを刻んでいます。ファザードの聖アントニオの像は通りを行き交う多くの人達を長い長い間、見守っていたのですね。



正面ファサードの右横にこんな入口があり、



迎えてくれたのは、見かけずっしりの修道女。見かけとは違い軽やかな声で優しくひとつひとつのお菓子の説明をしてくれました。

修道女の後ろに並ぶ様々なお菓子。ここのお菓子の種類がまた多く、私は一瞬パニック状態に。。箱入り、袋入り。量もいろいろ。



全部試したいという気持ちを抑えながら、まずは食べてみたかった修道女のマドレーヌを選びました。

スペインでは“Magdalena マグダレナ(Madalenaマダレナとも)”と呼ばれ、朝ご飯におやつに親しまれているお菓子です。



このマグダレナの起源、フランス生まれ、ギリシャ生まれなど諸説多々あります。もともとは帆立貝の型で作っていたものが元祖。サンティアゴ巡礼の道行く巡礼者に若い娘マグダレナが巡礼のシンボルの帆立貝の形をしたお菓子をふるまった、というスペイン発祥の地説もあります。

実は多くのお菓子がスペインから他のヨーロッパの国に広がっています。そのお菓子のほとんどが修道院に基を発し、王室や貴族の婚姻、修道女たちの伝播などにより広がっていったのです。
まだ家庭ではかまどがなかった頃、修道院では大きなかまどを所有していたのでお菓子作りが盛んだったのです。卵、蜂みつ、砂糖、小麦粉をいつでも所持していたのが修道院だったことも理由のひとつです。

このマグダレナもフランスで生まれたという、その何世紀も前からスペインで作られていたらしいのです。
う~ん、マグダレナはやっぱり“聖マグダラのマリア”の意ではないかしら。。そしてやはりその起源はスペインの修道院ではないかと思うのです。



マグダレナ、しっとりとしてとても美味しかった!
そして“Coco” ココナッツボウルもまたコンデンスミルクの味が濃厚でおいしかったこと。

下の画像は“Rosquillas” ロスキージャス。スペイン風ドーナツで、これもまたドーナツの元祖に違いないのでは・・と思っております。さくっとした食感がくせになります。



以上は袋入り。
日本に持って来て少しずつ大切に味わっているのが、この箱入りの“Turr?n de la abuela” おばあちゃんのトゥロンと名づけられたチョコレート。トゥロンは前述したクリスマスに食べるお菓子。ふつうはヌガータイプなのですが、これはざくっとした形。手作りらしいところが素敵です。

小さく砕いたアーモンドをキャラメルでコーティングし、チョコレートで包んでいます。これがまた美味しいの♡



時間ぎりぎりで入ったインマクラーダ修道院を後に、まずは悲鳴をあげてるお腹のためにお店を探してから少し街を散策することにしました。


2011年11月13日日曜日

修道院のお菓子 サルバティエラ(バスク)

この日はちょっと早めにホテルを飛び出し、Vitoriaビトリアに出掛けました。

また、バスに乗っていくので気を引き締めて。
と思ったら、今回は全指定席で、すでに大変な混みよう。
週末をどこかで過ごし、ビルバオからビトリアの大学に帰る学生たちでごった返していました。

ビトリアに1時間15分ほどで到着。バスターミナルで違うバスに乗り換え、まずはさらに東に30kmほど離れたSalvatierraサルバティエラの修道院を訪ねることにしました。




バスク地方のアラバ県にあるサルバ・ティエラ。
またこれが小さな小さな村でした。





村の中を歩いて行くと、教会"サン・ファン・バウティスタ"が見えてきます。15世紀に建てられたという歴史ある教会です。



教会の左奥に見えるのがサン・ペドロ修道院・・が、ちらりと見えたのがクレーン車、それに工事中の大きな音。とっても嫌な予感。。。のとおり、なんと修復工事の真っ最中でした。「昨日のバスの次はこれ??」と一瞬にして半泣き状態の私。。



工事現場に行くと「修道女たちはいないよ」と冷たい言葉が返って来るだけ。訪ねても修道女たちのお菓子のことなど全然知らない様子。

帰るべきか否やか迷うものの、とりあえず何人か道行く人に訪ねると、修道女のお店が出ていることが判明!「きっとお菓子だけ売っているお菓子屋さんね。。あ~でも良かったあ」。




それは、村の中にひっそりとありました。
このディスプレイ。まさにお菓子屋さんです。



でも扉を開けると、迎えてくれたのは修道女ではないですか!

中にお菓子が並んでいるわけでもありません。このお店、修復工事中の臨時のお菓子売り場だそう。

「どこから来たの?え?日本なの?」と驚きの声をあげ、「地震は大変だったわね。あなたのところは大丈夫だったの?」、労いの言葉もかけてくれました。



それにしてもこの修道女、どこかで会ったような気がしてなりませんでした。それにお菓子たちも。
あ!以前観た動画だわっ!! 日本に戻り、その疑問が払拭!修道院名をちゃんと聞きとってなかったのに、偶然にも訪ねることができたなんて!うれしいじゃないですか♡

しかし写真でさえ駄目という修道院が多い中、こんな風に男子禁制の内部のルポを許可するのは珍しいはず。いくらキッチンと教会だけとは言え。→
動画はこちらから。


お菓子の種類がたくさん。全部試したいくらいでしたが、持って帰るのにも限界ありますし、大いに迷いました。

トゥロンを2種類、袋にたっぷり入ったポルボロン、チョコレート菓子2種類を購入。ちなみに袋入りと箱入りがありました。

まだトゥロンは食べていませんが、このチョコレートがとっても美味しい!
ひとつは中に生チョコが入ったリッチな大粒チョコレート。もうひとつはヘーゼルナッツが入ったチョコレート。袋や箱には"Clarisas クララ会"と記されています。



そして動画でも作っていたChoco-Nuez。チョコレートの入ったパイです。
これは近くの公園で食べてみました。かなり濃厚でした。



次はビトリアの修道院を訪ねるために再びバスで移動です。

2011年11月3日木曜日

修道院のお菓子:エロリオ(バスク)

バスクに到着。
ビルバオを基地にしていくつかの修道院をまわることにしました。まず赴いたのがビルバオ近郊Elorrioエロリオです。

バスターミナルからバスに乗って1時間ほど。のはずが、ふと気がついたら2時間も経ち、またビルバオに戻っていたという情けない失態!

表示される停留所名をしっかりチェックしないで、ウトウトなんてしているとあっという間に通り越しちゃいます。終点でみんなが降りるだろうから、なんて安心もよくありません。本数が少ないからか「逆だけどもう乗っちゃおう」という人達がいるのかしら。。終点でも私を含めたくさん人が乗っていたのです!

「なに!なんで乗ってるの??お前まさか降りなかったの??姿が見えないから降りたと思ってたよ。まったく!」とバスの運転手さんにも散々呆れられてしまったのでした。。

自分のボケ加減と時間のロスとにかなり凹みましたが、ビルバオのバルでしっかり充電し、午後から出直しました。
そしたらまたバスの運転手さんが同じ。。。「今度は絶対声掛けるから一番前に座れ!」と親切にも強要。おかげで無事2回目にしてエロリオに到着。



エロリオは小さな小さな村でした。

修道院が開くのに時間があったので村を歩いてみました。
古い市庁舎、壁や飾り窓の美しい家々。山に囲まれた静かな村。



バス停からも村の中心地からもすぐそばにある”Monasterio de Santa Ana" 聖アナ修道院です。

たいていTornoがある場所は正門ではない、ひっそりとした小さな扉だったりします。表示されてないことが多いので、これはもう感にまかせるしかないです。



16時に開くはずがなかなか開きません。午後開かなくなってしまったのではという不安が渦巻きます。電話しようかどうしようかと思っているその時!修道女が出て来て表門を開け「あら、どれくらい待ったの?大変だったわね。さ、どうぞどうぞ」と優しく中へ導いてくれました。なんでしょうね、あの修道服を見るだけでちょっと救われちゃう気がしちゃうのは。午前中からの凹みがいっきに解消されちゃいました。



外は午後の日差しが強く暑いほどでしたが、中はひんやり。



この修道院も歴史は古く、300年前に建てられたものだそう。
ここのお菓子はなかなか一般に売られることはなく、その販売は60年ほど前からだといいます。



修道女はTornoの中に入ってしまい、もう顔を見ることはありませんでした。顔は見えずともTornoごしに話をしながらも、この日に売っていたMostachonesとやけど用クリームを購入。



Mostachones モスタチョーネスは卵白で作ったお菓子です。
なんともなつかしいふわっとしたやさしい食感、口の中でほんのりと甘く広がる味。



そして、手作りの”やけど用のクリーム”。オリーブオイル、ハーブ、蜜蝋で作ったこのクリームは「やけどだけではなくって、ケガや痛みにも大丈夫だから、使ってね!」と修道女が言うので思わず大きいサイズも買ってしまいました。



ケーキもホール売りで少し高いけれど、予約すれば作ってくれるそう。ミキサーも使わずすべて手作り。次に訪れる時には食べてみたいな。

帰りのバスで食べたモスタチョーネスがおいしかったこと。今回のお菓子の中でもわすれられない味となりました。

 

  

2011年11月2日水曜日

モンセラットへ

街では今日もお祭り騒ぎが続いているはず。
それにも惹かれるけど、モンセラットに修道士手作りのアーモンド菓子があったような・・そんな記憶が気がかりで、やっぱりモンセラットに出掛けることにしました。

ラウラとペレも一緒に行くことになり、ちょっとした小旅行となりました。

登山電車に乗ってモンセラットを目指します。あいにくの小雨で、前日とは打って変わっての寒さ。麓近くなるとさらに寒くなるのは至極当然。標高が700mちょっともあるのですから。。



世界的に名高いのこぎりのような形をした岩が連なる山。ワーグナーやガウディなどの著名な人達にインスピレーションを与え、また聖地としてカタニアの人達に愛され続けている場所。その岩たちに見下ろされるように、そこには大聖堂と修道院があります。

しかし麓に着いてびっくりしたのは、モンセラットの変貌。その観光地化した姿と言ったら。
私は25年ぶり、ペレも子供の頃から20年は来ていない様子。「変わっちゃったね~」と思わず顔を見合わせました。

これがまた観光客たくさん受け入れOKの大きいカフェテリア。まだまだ食べ足りない感あるMel i mato をいただきました。



大聖堂ではミサが行われていました。









大聖堂で聴いた修道士たちの歌声がずっと耳に心地よく響いていました。。

大きなお店にはお土産がひしめいています。やはり、修道士が作ったものは無に等しかったのにはがっかり。でも、おもちゃのブレスレットをたくさん買いました。手元に残ったのはこのふたつですが、よくよく見ると黒いほうのにはドラゴンを征伐している勇士のお姿が!



カフェテリアの横にマーケットが出ています。これはお得感があります。美味しそうなチーズケーキにハチミツ漬けのくるみにアーモンド、木の実をたくさんのせたいちじくのお菓子。








お昼にはバルセロナに戻り、ラウラのシェアメイトの男の子アドゥリアンも誘ってお昼に。

ラウラたちのご近所にある行きつけのこのお店の美味しかったこと!

私たちは小さなパイ3種と塩豚ハム・ラコンのバゲットサンドと羊チーズにくるみ、ハチミツがけサンド、チョリソーたっぷりのサンドなどシェア。お店の2階がまたなんとも居心地がいい。あ~もう一度行ってできたてのバゲットサンドをほおばりたい!





まだまだ美味しいもの食べてラウラたちとここで遊びたい。後ろ髪引かれながら、このお店から直接空港に1人向かうその切なさ。。バスクのビルバオへ。。

2011年11月1日火曜日

バルセロナへ

この日、サンティアゴ・デ・コンポステーラからバルセロナへ移動しました。

ホテルに荷物を置き、迎えに来てくれたラウラとすぐ食事に。
私のリクエストでバゲットサンド屋”Conesa”でLauraのボーイフレンドのペレも合流して昼食。

旧市街のゴシック地区へ。



下は〝Caelum"。修道院のお菓子を主に扱っているお店です。
軽く100年は経っていそうな昔のままの建物が素敵。



店内では地方の修道院のお菓子が食べられます。
これは1階。地下のカフェはさらに昔の造りを生かし、その雰囲気がまた素敵です。それもさることながら、ここではスペインのお菓子文化をいっきに垣間見ることができます。そのうえ、その場で修道女の手作りの味を堪能できるのですから、お菓子好きにはなんともうれしい場所。

 

色々な地方の修道院のお菓子や石鹸、リキュール、ワインなどを買うこともできます。→
Caelum
歩いていたら、チーズやはちみつのマーケットが出ていました。Vall del Tenesの山羊のチーズを買ってみました。
 
夕方にはバルセロナ長期滞在中のカメラマン宗田育子さんと落合い、まずは”Granja"へ。旧市街にGranjaと名前についているチョコラテ(チョコレート・ドリンク)屋さんがいくつかあります。それってもともとはミルク屋さんだった名残だそう。 

このお店はもうその名前のまま「Granja」です。

 
 
ペレ曰く、ここのSuizo(チョコレートドリンクの上にホイップクリームがたっぷりとのっているスイス風)も絶品だとのこと。でもなんて言っても食べたいのは、Mel i mato! このお店、一番おいしいとラウラのお墨付きなんですから。

mato羊のナチュラルチーズにMelはちみつをかけて食べるんです。チーズはほんのり甘いカッテージチーズのようで、はちみつとのコンビネーションがたまりません♡ 

この日はちょうど"メルセ祭り”のピークの日。この夜はドラゴンの行進が!

もっとも、この日を選んだおかげでとりたかったホテルがとれなかったり、街はたくさんの人でごった返していたりでしたが、ドラゴンの行進への期待がふくらむばかりです。だってドラゴンは火を吹くっていうではないですか。火を吹くドラゴンのパレードですよ♪ ふふふ♪

ところが、市庁舎に夜のパレードに出演するメンバーが勢ぞろいしておりました。思っていたよりも小さいのもいるし、豚までいるではないの。本当に火を吹くのか、これでテンションが上げられるのか、少し不安になってきました。


上画像、右下が聖ジョルディ伝説のドラゴン征伐の図です。
遠い遠い昔、カタルニア地方の守護聖人であるジョルディは美しい乙女をドラゴンから守ったといいます。死んだドラゴンの血は赤いバラに変わった・・・という、うっとりさせるようなこの伝説にちなんだパレードなわけです。

しかしどうも気がかりなのは、このグロテスクで真っ赤かな豚ですよ。。



ラウラお薦めのこの店のカップケーキを買い、次の日の朝、ホテルで紅茶と共に賞味。

下は夜のCaelum。修道院のお菓子の店です。夜もまた素敵。

 

ホルヘも来ることになり、この店で時間をつぶしました。ラウラ達の行きつけのカフェ。この時間はもう飲み屋さんでした。ラウラのおすすめは西洋かりんのパイ。私たちはビールのファンタレモン割り”Clara"でアルコールスタート。



ホルヘも合流して、みんなで夕食を軽くとり、パレードを待ちました。



はじまったのは10時くらいだったかな。画像がお粗末で分かりませんが、ドラゴンたち、かなり火を吹いておりました。なんと、あのメタボ豚も火を吹いてるではないですか!
 

何がすごいって、ドラゴンではなく後ろに付いて太鼓叩いてる人達とさらにその後にくっついて踊り狂っている人達!ドラゴンごとに太鼓グループのシャツの色が違う。まさにおはやし状態。これはテンションいっきに上がりました。



怪獣たちが出終わった市庁舎をスクリーンにして映像が展開。様々な映像が次から次と市庁舎の形態に合わせて流されます。この画像は積木。この後崩れたりするんです。もう口あんぐり状態で目が釘づけ!私にとってはこれ、アトラクションパーク以来の興奮度でした。

メルセ祭りは何日にもわたって色々なイベントが楽しめるそう。この日は金曜日、週末はメインイベントの目白押しだそうですから、翌日の夕方バスクへ立つのが嫌になってきました。