2009年6月5日金曜日

6月の歌舞伎座

先月は新橋演舞場に赴きました。
鬼平狂としては外すわけにはいかず、歌舞伎座はお休みして吉右衛門さんの歌舞伎版[鬼平犯科帳]長谷川平蔵をたっぷりと。。。と胸ふくらませていたのに。。。。白塗りの鬼平が苦手な自分発見。。
歌舞伎として楽しめない、先入観コチコチな自分にがっかりでした。

さて今月は歌舞伎座へ。昨日まずは昼の部に行ってきました。

今回の演目の中でも[女殺油地獄]は仁左衛門さん「一世一代にて相勤め申し候」と、もうこのお役を演じるのが最後だというではないですか。
お役の与兵衛は色狂いで高利貸しから多額の借金、家庭内暴力をふるう23歳の放蕩息子。殺しの場ではこぼれた油の中でころんでは這いつくばり・・・かなりハードなお役なのです。
与兵衛は「若い人(役者)のエネルギーで見せた方がいい。」とご本人も遠ざかっていらしたところ、「歌舞伎座さよなら公演」ということでの「一世一代」と相成ったそう。
今回拝見できるだけでも大変ラッキーなのでした。

この作品は近松門左衛門が実際の事件をモチーフにして描いたもので、享保6年に人形浄瑠璃として上演されたそうです。それもたった一回限りの公演だったとか。それから明治まで復活されなかったのには諸説あるようですが、実はあまりにも残忍なので油屋(組合?)の圧力があったのではという説も。いつの時代もオイルマネー?強し。。

大阪が舞台のこの狂言。すっきりとした爽快感あふれる江戸前の男っぷりが似合う仁左衛門さんですが、大阪生まれで純粋な上方言葉が使えるお方。なんとも聞き心地の良い口跡。

とすっかりお芝居に没頭していた時、突如として歌舞伎座に「バカ野郎!」というおじさんの大声が響き渡り、あっという間に現実の世界に呼び戻されました!
な・・なんだ??なんか文句?え?誰に??
その後も続けて何度か「*△◎~バカ野郎~!!」。

それもクライマックスの殺しの場でですよ。。
仁左さんは表情一つ変わらず素晴らしい演技を続けていらっしゃいました。

歌舞伎座を後に泣きそうな気持を引きずりながら帰り道銀行に寄ったら、さっきまで与兵衛のお母さん役をやってらした秀太郎さんが!
思わず「頑張ってください!」と言ってしまった私に「ありがとう」と女形のあのやわらかい物腰でおっしゃってくださり、もやもやとしてた気持ちが破裂しそうになりました。私くしゃくしゃの顔になってただろうな。。

あ~あ。今回の[女殺油地獄]もう一度じっくり見直したい。。。



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