2012年10月18日木曜日

修道院の刺繍(オルメード)

この日は伝統的な刺繍を仕事にしているという修道院を訪れることに。ずいぶん前から楽しみにしていた修道院なので朝からワクワク・・のはずが日本から仕事の連絡があり、帰国を少し早めるという決断を強いられ、かなり動揺。。日程をおさらいすると、マドリッドの娘との時間を削るしかないではないですか。聖イサベル修道院のエンパナーダを朝食に、窓からピスエルガ川を見つめながら気持ちの整理をし。。。
3日早く日本に戻る事に決めました。

本数が少ないバスにどうにか間に合い、バジャドリッドから44kmほど離れたオルメード(Olmedo)に向かいました。


着いた村は思っていた通り、とても小さな村。
ところが、17世紀の劇作家ロペ・デ・ベガが書いた「オルメードの騎士」が名高く、スペインでこの村の名前を知らない人はいないのだそう。(ちなみに日本では岩波文庫から出版されています。私も読まなきゃ!


可愛らしい家並みを歩きながら修道院に向かいます。
昨晩はお祭りだったそうで、遊園地を解体して運んでいたり、ちらばったゴミを村の人たちが片付けています。さぞ賑やかだったことでしょうね。。でも修道女たちは外に出ることもできず、大騒ぎの音を微笑みながら聞いていたのでしょうか。


人に訪ねながらたどり着いたかわいらしい修道院。マドレ・デ・ディオス修道院。16世紀設立時の門の一部がそのまま残っています。修道女たちが住む奥の方には昔のままの姿をとどめたムデハル様式の美しいアーチなどもあるそう。


時間の確認で電話をしていたので、「待ってましたよ!」と快く迎えられました。そしてトルノがぐるりと回り、鍵がひとつ。


もらった鍵で扉を開けると、小さな部屋にガラス棚がありボビンレースや刺繍をほどこした作品がずらり! 私は思わず歓喜の悲鳴。大好きなマジョルカ刺繍や繊細なボビンレースなどそれはもう可愛いものばかり!天使の刺繍をしたクッション、麻の布にイニシャルを刺した小物やパン袋まである!とんでもなく興奮してる私に「遠くからよく来たわね」と2人の修道女が格子の向こうから声をかけてくれました。


とっても元気な73歳のマザー・マリアホセと笑顔を絶やさないもの静かなマザー・マリア。この方はなんと80歳。でもまったくそんな年齢には見えないほど肌もきれいで若々しい。

刺繍をはじめたのは何人かの修道女がもともと得意な刺繍を教え合ったことからはじまり、いつの間にかこの修道院の仕事となり、今では大切な収入源となっているそう。

それにしても、繊細な作品の数々。ひとつのものをじっくりと1人が縫ったり、時には共同作業の時もあるとのこと。現在、28人の修道女の中で刺繍をするのは6人。このお2人のマザーを中心にチームが組まれいるそう。

修道院の日々の多くはお祈りの時間にあてられ、他にも様々な毎日の行事があり、話を聞いていると修道女たちの1日はとても忙しそう。「仕事」の時間はここの修道院では1~2時間と決められているので、受けている刺繍のオーダーを期限まで間に合わせる時はとても大変なのだとか。


一目惚れしたのはマジョルカ刺繍のこのクロス。マザー・マリアが1ヶ月かけて作った作品。丁寧な引き抜き刺繍も美しい。マジョルカ刺繍は他にも青い糸とベージュの糸があったけれど、このきれいなえんじ色が好き!私の宝物になること間違いなしです。大切にしよう。

中央にあるのはポプリ入れ。修道院のハーブを摘み、乾燥させて作ったというポプリをその場で入れてくれます。「あなたの好きな香りのものを入れ替えてね」とマザーたち。でもこの強すぎないやさしいラベンダーの香りがとても心地よいのです。


大きな可愛らしい箱にきれいに重ねて入ってるのをそのたびに取り出して、「これは大変だったの」とかお話つきで1枚ずつ取り出して見せてくれます。
ボビンレースのハンカチとマット。これも私の宝物になりそう。

オーダーで赤ちゃんのドレスやウエディングドレスも作るというから素敵。ベッドリネンを頼まれることもあるそうだけど、そうとう気長に待たなきゃいけないんだろうな。でも、ゆっくり時間をかけて待つのもそれはそれで楽しいかもしれませんね。

そして、次に訪れる時には習えたらいいな。。

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